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片岡さんは行きと同じように、無言のまま帰り道を車で走る。そして――見覚えのある場所で止まった。
「ここ……」
私たちがいつも過ごす、あの河川敷だった。
「少し、いいかな」
「はい……」
車を止めると、私たちはどちらからともなく手を繋ぎ河川敷を歩き出す。
そんな私たちを夕日が包み込む。
「ちょうどこれぐらいの時間だったんだ」
「…………」
「事故にあって、倒れた実穂を真っ赤な夕日が照らしていた。血がどんどん溢れる実穂の身体を……」
「片岡さん……」
でも……と、彼は続ける。
「彼女は君の中で、ちゃんと生き続けていたんだね」
「はい……」
「こんな気持ちで、夕日を見ることが出来る日が来るなんて思ってもみなかった。……翼ちゃん、君のおかげだよ」
そう言うと……彼は私の身体をギュッと、力強く抱きしめた。
「僕はもう一度……人を、好きになってもいいんだろうか」
ポツリと呟いた彼の言葉は、不安そうに震えていた。だから、私は――彼の身体をそっと抱きしめ返す。
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