番外編 花のようなひと

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 ぬちぬちと淫靡な音が立つようになると、一弥が早くも腰をくねらせてくる。剛実は相手を抱き起こし、胡坐をかいた股座の上に、その腰を落とさせる。  硬い先端が、じりりと肉環を押し広げていく。一番太い所が埋まったのを見、剛実は、そのまま一気に隘路を突き上げてやる。 「あ! ああっ……!」  一弥が胸を反らせた。肉鞘がさっそく刀身を食い締めてき、剛実もまた、反動を利用して奥処を捏ね上げていく。細い身体でそこだけ肉付きがいい臀朶をわし掴みながら、猛った己を打ち込む。 「あっ、あ……剛実……ぁ、すごい……」  腰をみだらにくねらせ、一弥は髪を乱して喘ぐ。その姿にぞくぞくと愉悦が込み上げ、剛実はさらに奔放に腰を使った。奥のしこりをくじってやれば、「あぁッ」と絶え入るほどの喜悦の声がこぼれる。 剛実は胴震いした。彼の快感に奉仕することこそが、自分の歓びだ。欲しくて、欲しくて、やっと手に入れた相手だから、とことんまで愛し尽くしたいのだ。彼の望みを満たし、そして、自分だけに許された甘美な果実を、雫の一滴までも味わい尽くしたい。 「あぁっ……! あ、快い……快いっ……」 眼前で踊る花芽のような胸の粒を吸うと、一弥はさらに悩ましげな吐息をこぼす。ぷつりと尖った粒を舐め転がせば、肉の鞘もいっそう熱を増して剛実に絡みついてくる。抱けば抱くほど肌に馴染み、芳香を放って乱れ咲いていく姿がたまらず、剛実は低い呻き声をこぼしながら、身体のすべてを使って献身に励む。 「はぁ、あぅ……剛実……もう……」 首筋から流れ落ちる汗の雫を舌先でなぞると、一弥はそれだけで身悶える。剛実も呼気を荒げ、勢い余って敷布に押し倒した一弥の奥を繰り返し穿つ。甘苦しい熱がいちどきに膨れ上がり、やがて……大きく爆ぜた。 「あぁあっ――……!」  共に頂点へと駆け上がり、春の嵐のような快感に忘我する。極みのあとの甘美な墜落に身を委ね、二人、再び肌を重ねて褥に横たわる。 「はぁ、はぁ……」  骨まで蕩けそうな愉悦に浸り、また、共に寄り添い合う。
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