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しなやかな筋肉を蓄えた、浅黒い肉体。あちこちに古傷のある彼の肌が、この上なく愛おしい。
想いを込めて目の前の素肌に口づけると、剛実がぶるりと胴震いしたのが分かった。感に堪えない呻き声を上げ、一弥を押し潰すようにのしかかってくる。胸と胸とがぶつかり合い、頬にもまぶたにもめちゃくちゃな口づけが降ってくる。
一弥もまた強く腕を回し、絡みつく藤の蔓のように相手を抱きしめる。
「もっと、強く抱いてくれ……ああ、剛実……あの夜よりも、強く……」
言葉どおりのことをされた。唇を吸われ、侵入してきた舌に舌をねっとりとすくい上げられる。そうしながらも指先が、胸で硬くしこる粒を摘み、押し潰し、弾いていく。
「あ、あぁ……は、ぁ……」
与えられる愛撫のすべてが、たまらなく快美だった。甘く掠れた声を上げ、一弥は髪を乱して喘ぐ。剛実の唇はあばらに浮いた骨のかたちを撫ぜて臍の周囲をくすぐり、淡い下生えの中心で蜜を湛えて実っている雄蕊に到達した。それを深々と口内に食まれたと思ったら、ぬるめく舌が敏感なくびれに絡んでくる。
「あ、あ……っ」
あまりの快さに、一弥は剛実の短い髪に指先を指し込んだ。身体と同じで、仕草もとても正直だった。それに応えてか、剛実は根本まで一弥を含むと、頭を上下させて幹を舐めしゃぶった。先端から滲み出す蜜をも吸い取られ、淫猥な水音が一弥の耳を侵す。
「あ、は、ぁ……ん、ゃ、あ……ッ……」
腰の奥が疼いてくる。剛実はひくつく雄蕊をあやしながら、その下方で綻びかけている蕾に指をのばしていく。唾液で湿した中指が、中心のすぼまりにゆっくりと埋まった。一弥は努めて力を抜き、慎重に動く指の感覚に身を委ねる。
「ぁ、あッ……!」
じりじりと奥処を探っていた指が、小さなしこりを掠めた。淫靡な焔が肉体に点り、びくん、と腰が悶える。しかし内壁はとろりと質感を変え、まるでねだるように指をみだらに食い締めてしまう。
剛実が手首を使い、挿入の指を増やしていく。それらが中でばらばらと動かされる頃には、隘路はすっかり柔らかく解れていた。
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