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俺は驚いて彼女から離れ、彼女を見上げると、彼女の口の周りが血だらけで、何やらむしゃむしゃと食べている。
俺の唇から生暖かいものが流れ落ちたので、手で触ってみると、手のひらが真っ赤になった。
彼女が食べているのは、俺の唇だ。
「うわあああああああ!」
俺は気が動転して、逃げるのに、テーブルの足に引っかかって転倒してしまった。
そこに彼女が馬乗りになり、俺にまたがると、今度は喉笛に食らいつく。
ひゅーという音とともに、血が大量に噴出した。
彼女が叫ぶ。
「ハッピーハロウィン!!!」
もうこれは彼女ではない。
俺はもう声を出すこともできない。彼女はゾンビになってしまったのか。
そして、彼女が今度は俺の目玉に食らいついた。
「わああああああああああ!」
俺は上半身を起こすと、びっしょりと全身に汗をかいていた。
顔や喉を触っても何ともない。
リビングのソファーで眠ってしまったようだ。
テレビは、すでにDVDの再生を終え、陽気な外国人二人が、健康グッズの紹介をしていた。
「なんだ、夢か。」
俺は怖いから予めDVDを一人で見ておいて、彼女の前では頼りになる男を演じるために驚かないように予行練習をしていたんだった。意外と怖かったので、あんな夢を見てしまったんだな。
俺は一人苦笑いした。
テーブルの上のリモコンに手を伸ばす。
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