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茶髪のショートカットが、焦げ臭い微かな風に揺れる。
「オールクリア。いつ見ても気持ちの良いもんじゃないわね、やっぱ」
「ナミちゃんってばデリケートだよ」
そう言いながら、同じくヘルメットを脱いで鋭角的なツインテールを現し、南に近寄ったのは、拳銃をホルスターにしまった射撃の名手、小鳥遊だった。
彼女は、南のことをいつもナミちゃんと呼ぶ。
だから、南をナミという名前だと誤解している人間は多い。
「焼き過ぎて失敗した魚って思えばいいんだよ」
「そんな脳天気な発想はできないよ、私」
「えへへ。コロンブス的転回、だよ」
「それ言うならコペルニクス的転回。勉強しないとね、小鳥(ことり)」
「あ、隊長、隊長、どうだった、今日のあたし」
来栖は槍を壁に預け、血塗れのバイザーをタオルで拭っているところだった。
ヘルメットでぺちゃんこになっていた髪を、手で掻き上げる。
茶色く染めた、アシンメトリーの髪。
適度に輪郭の長い、女子受けする整った顔立ち。
「及第点」
「何それー。隊長、暑いからって、八つ当たりの辛口は駄目だよ」
「学生の本分は勉強だぜ。コペルニクス間違えるようじゃ満点はやれねぇよ」
来栖は、汚染されたタオルを処理班に渡し、家から出てきた。
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