1-1 血は紅く

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「そもそも、髪の毛が銀色の奴なんて、女としても落第だね」 「この子の弾と同じ色なんだよ。強そうだし、格好良いでしょ」  小鳥遊がホルスターの拳銃を軽く叩いて見せる。銀色のツインテールが跳ねる。 「単に奇抜。ある意味、奴らも避けるかもしれねぇけどな」 「ひーどーいー」 「うるせぇ幼児体型」  そう言って、来栖は僕に目をやる。 「タツ、この後は暇だろ? 学食に行かねぇか」 「よく食欲が出るな、仕事の後に」僕は黒焦げ死体を目で示す。 「あんなの、焼き過ぎて失敗した魚って思ゃあ良いんだ」 「あー、あー、隊長、盗作、盗作! それ、あたしのだよ!」 「うるせぇ。俺のもんは俺のもん、小鳥のもんは俺のもんだ。何せ隊長だかんな」 「職権乱用だよー。竜平(りゅうへい)君からも言ってよ。こんなの発想のレイプだよ」  小鳥遊にすがられて、僕は苦笑を浮かべるしかない。  近くには最年長の三川幸三(みかわ・こうぞう)もいたが、まだあまり皆と打ち解けておらず、寡黙に立っているのみだ。  短く刈り上げた頭髪に、厳つい顔。  腕を組んでいるため、鍛え抜いた筋肉が隆起している。 「皆さん、お疲れ様でした」  そう声をかけてきたのは、巻き揚げ機の操作を担当していた尾瀬秀(おぜ・しゅう)だった。     
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