何千回も夢見たこと

17/26
前へ
/256ページ
次へ
可南子はオフィスに忘れ物をしている事に気づき、会社に寄ってからそのまま家へ帰ることにした。 今のこの状態で想太の顔を見たくはなかったし、早く家へ帰って泣きたかった。 会社へ着くと、他の部署はまだ電気がついていたが可南子の部署は真っ暗だ。 可南子は電気をつけ、しばらく机の前で物思いにふけった。 そして、忘れ物をバッグに入れ席を立ちあがった時に、誰かが入ってくる音がした。 「可南子、やっと見つけた」 そこには、想太が立っていた。 「何も言わずにいなくなるなんてひどいじゃん」 想太は二次会を断り可南子をずっと捜していた。 可南子はそう言う想太を無視してドアへ向かって早足で歩く。 「可南子」 想太は、可南子の腕をつかんで引き寄せた。 「何を怒ってんだよ。 もう、勝手にいなくなったら許さないからな」
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1751人が本棚に入れています
本棚に追加