1746人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
「あの頃の私達って、本当に必死だったよね」
想太は笑いながら、うんうんと頷く。
「でも、可南子はそんなことないよ。
俺なんか必死過ぎて、半分、ストーカーになってた」
「可愛いイケメンストーカー」
「無知であるがゆえに、今考えるとヤバい事ばかりしてたよな。
可南子の両親に嫌われてもしょうがないよ」
「でも、私はあの頃のやんちゃな想ちゃんが大好きだった…」
「今は?」
想太は、悔しいけれど、子供の頃の自分に焼きもちを焼いてしまっている。
「今も、昔も、全然変わってないじゃない」
想太は、可南子を抱き寄せた。
子供の頃に密会をしていた電信柱の隙間は、もう狭すぎる。
「想ちゃん、幸せになろうね…」
可南子は想太に軽くキスをした。
想太もキスを返そうとしたが、反射的に焦って可南子から体を離す。
「ここじゃ、やめとく…
可南子のお父さんが飛んできそうだから」
可南子は、声を出して笑った。
12歳の想太は、まだここにいる…
最初のコメントを投稿しよう!