ひとつ、ひとつ…

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想太は抜群に運転が上手かった。 レンタカーのためにカーナビがついていない車だったが、想太は一度も迷うこともなく市街地から少し離れた場所にあるこじんまりとした霊園に無事に着くことができた。 「なんか、俺、緊張してきた」 「なんで?」 「ちゃんと、墓があるかなって思って… 15年の間、誰も来てなかったらこういう場所ってどうなるの?」 可南子は黙ってしまった。 何も考えずにお墓にきたものの、想太の心配事にも納得できる。 「私が先に見てこようか? 場所を教えて」 可南子は想太からお墓の場所を聞くと、恐る恐る、そこへ向かって歩き出した。 何があっても、落ち込んではだめ… 想太に教えてもらった場所に、松井家のお墓はちゃんと存在していた。 きっと、親戚の誰かが定期的にお墓参りに来てくれているのだろう。 造花ではあったがお花もきちんと飾られていた。 可南子は、想太に向かって大きく丸を描いた。
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