ひとつ、ひとつ…

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想太と可南子は、お墓やお墓の周りをきれいに掃除をした。 想太は、無言で墓石を磨いた。 今までの弱い自分も、この墓石についた汚れと一緒に全部流してしまいたい… 今までの想太は、不思議と祖母に会いたいと思ったことは一度もなかった。 会いたいと思わなくても、ばあちゃんはいつも俺の近くにいる。 そう思うことで自分を慰めていたのかもしれない。 今日は、自分の中の何かが吹っ切れたような気がした。 頑張って柿谷想太にならなくていい。 松井想太も俺なんだと… 可南子と二人で手を合わせて、結婚の報告をした。 そして、「また、来るね」と祖母達に約束をして車へ戻った。
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