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可南子はあまりの驚きにめまいを感じ、落ち着きを取り戻そうと陽当たりのいい階段の踊り場で休んでいた。
すると、廊下の先で専務と新しい部長の声がする。
可南子はその部長の声を聞きながら、最後に別れた時の想太の声を思い出していた。
きっと別人に違いない…
心を鎮めようと、可南子は自分に言い聞かせる。
「可南子…」
可南子はハッとして周りを見回した。
「可南子、15年ぶりだな」
「想ちゃん?」
想太は、やっぱり想太だった。
背が高くなって、大人の顔になっただけ…
切れ長の奥二重の瞳はいつも何かを睨んでいるように鋭いままで、昔の想太と何ら変わらない…
「想ちゃん?
お前に捨てられた可哀そうな想太は、福岡の街に置いてきたよ」
そう言いながらも、想太は何も変わらない可南子に戸惑っていた。
可南子に会えたら、たくさんの罵声を浴びせる予定だった。
俺の15年は、それだけのために費やしてきたはずなのに…
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