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「可南子、また、団地の想太君と会ってたの?
もう会うのはやめなさいって、お父さんからも言われたでしょ」
可南子は聞くふりをして、車の窓から暮れいく空を眺めていた。
想太は、裏山の近くの団地に祖母と暮らしている。
想太の両親は、想太が幼い時に交通事故で亡くなってしまったらしい。
想太には両親の記憶はほとんどなく、物心ついた時には優しいおばあちゃんと二人暮らしだった。
体裁を気にする可南子の両親は、可南子と想太が仲良くすることをとても嫌がった。
それでも、可南子は想太の事が大好きだった。
想太は、負けず嫌いでスポーツも勉強もよくでき、そして何よりも、街を一緒に歩いているとテレビに出てみない?と誘われるくらいの美少年だった。
でも、両親がいないというだけで、想太への世間の風当たりは可哀想なほどに強かった。
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