本屋さんと覗き魔

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 そんな変態の所行に人魚書店のセキュリティは反応するのも無理はない。 「このまま盗むのなら相応の対価を求めますよ」  男の目の前に読子の幻影が映る。  本物の魔女であった先代が作り上げた泥棒に対して反応するセキュリティは風呂場の盗み見をも警告した。  ここで言う対価とは読子のトリックと同様に願いを叶えるためのモノ、そして願いは当然ながら盗もうとしたものである。  ここで願いが叶っても対価のせいでえられないのがお定まりなのだが、この男の狙いは本ではなく眼福である。見た時点で既に願いは叶っていた。 「神様!」  幻影とはいえ突然現れた読子に男は錯乱していた。  目の前の読子を激しい自慰が産んだ幻とも、自分の願いに応じて件の女性が来てくれたともとらえて興奮し抱きつく。  幻影なので読子は反応しないがそれでも抱きついた感触を得た男はさらに興奮して肌を擦りつける。 「ありがとう!」  そのまま男は幻影の読子を押し倒した。  読子の方は表情一つ変えず、その行為を代償を払ってでも願望を叶えたととらえて自動術式に男を陥れた。 「あれ……あのお姉さんは?」  男は目を覚ますとそこは見知らぬ世界だった。  男はその世界で読子の影を追い、反省するまで元の次元には帰ることはない。     
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