Aの肖像【彼は勇者の成れの果て】

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Aととある御仁は、ネットの中で知り合いました。 お二人ともゲームがお好きで。 携帯電話の、あるゲーム内で知り合ったのです。 Aはとても正義感溢れるリーダーでした。 新参者のとある御仁が加わったパーティーをまとめていた人物です。 ゲーム内で知り合った二人も、現実での生活があります。 とても意気投合した二人は、その関係性を、ゲームの世界だけではなく、現実へと広げました。 つまり、ゲーム外で連絡を取り合うようになったのです。 はじめは、Aが長期に渡ってゲームにログインする事が難しくなるから、パーティーのリーダー代理をして欲しい、といった内容でした。 当時は、今でいうガラケー時代。 サイト一つ開くにも、何やかや、時間がかかる時代です。 けれど、Eメールであれば、さして時間もかかりません。 二人は、Eメールでやり取りを開始しました。 けれど、Eメールというゲームの外の世界で、ゲームの内容指示だけには中々留まらないのが世の常。 二人は現実の自分をお互いに公開し始めます。 一人っ子ゆえ、弟妹が欲しかったA。 二人姉妹の長女ゆえ、兄姉に憧れていたとある御仁。 二人が、兄貴分妹分になるのには、さして時間はかかりませんでした。 …あ。 気付きますよね、やはり。 そうです。 とある御仁は、生物学的には、女性です。 何故、そんな言い方をするのか? ふふ…。 いずれお話致します。 Aととある御仁は、互いを魂の兄妹、と呼ぶ程に仲睦まじかったのです。 そろそろ、お解りでしょうか。 この“Aの肖像”が、漫画的なイラストの理由が。 お二人とも、お会いした事がないのです。 ありがちですね。 一度、写真を交換した事もありましたが…とある御仁は、その写真を保存などして大事にするという事はありませんでした。 そういう方なのです、とある御仁は。 ですが、ゲーム内でのAの姿形は鮮明に覚えています。 と、言うか、忘れられる筈がないのです。 Aのゲーム内での姿形は、とある既存のRPGの主人公を模したものだったからです。 そして、ゲーム内でのAの名もまた、とある既存のRPGの主人公の名を借りたものだったのです。 名作RPGですから、忘却する方が無理があるというもの。 ゆえに、Aとは、様々な意味で、 勇者の成れの果て、なのです。
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