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七海と私はお互いちょっとでも隙があると休憩してしまうので電話をしながら忘れ物が無いように準備することにした。
「七海、気になる先輩って?」
「な、なに急に」
「いやあ、七海ってサバサバしてるから男の人を好きになるところが想像つかなくって」
「私だって一応女だし、男の人好きになることだってあるわよ」
「どんな人なの?この前の啓の飲み会にいた人?」
「ううん。バイト帰りにたまたま会ったの。啓とその先輩飲みに来てたみたいで一緒に行こうって啓が誘ってくれて。でもほら、私って愛想無いじゃない?」
バイトからの帰り道、駅の近くで偶然啓と先輩に会った七海は一緒に飲みに行くことになったそうで、最初は断っていたけど啓お得意の押しと先輩の「君もおいで。僕は構わないから」という優しい言葉に負けて一緒に行ったのだと七海は少し照れたように話してくれた。飲んでいる間も、穏やかで優しい口調の先輩は緊張から更に無愛想になっている七海にもいろいろと話しかけてくれたしとても良い人だったと。
「ふふ、なんだか友達のこういう話って良いね」
「雨音ってどんな友達がいたの?地元で」
「どんな、って・・・普通の子ばっかりだよ。特別変わった子なんて・・・いなかった」
「ふーん?まあ雨音は昔っから真面目そうだしね」
「あはは、普通だよ」
他愛ない話をしながら一応3日分くらいの着替えを大きなバッグに詰め込んで化粧品や歯ブラシなんかの必要なものも二人揃ってきっちり確認した。準備を終えた頃には夕食を食べるには少し遅い頃合だったけれどその後も喋りながらご飯を済ませてお風呂に入るときに漸く電話を切る。お風呂でしっかり体を休ませてから布団に潜り込むとすぐに眠りに落ちた。
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