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一通り食べ終わって少しの間休憩するとみんな海へと戻っていく。飽きもせずによく遊べるなぁ、と感心していた私の視界に入ってきたのは少し高い岩場に上がっている子達だ。
「楽しそうだね、アレ」
「えー、危ないよ」
「行こうよ雨音。泳げるでしょ?」
「泳げるけど、転んだりしたら」
「僕も一緒に行くよ」
「花波くんも泳ぎ得意?」
「まぁ、それなりかな」
私達も行こう、という七海に渋っていると花波さんに背中を押されて結局岩場にあがることになってしまった。
みんな何度も何度も飛び込んでいるけど、いざ登ってみるとなかなか高さがある。もちろん死ぬような高さではないのだけど結構高い。男の子も女の子も軽く飛び込んでいるけど怖くはないのだろうか。
「私から行くね」
七海だって普段はここまではしゃがないだろうに、花波さんがいるから?、それにしたってなんだか。
「どうしたの?守澄さん」
「いえ、みんなすごいなぁって。私怖くて飛び込めないかも」
「平気だよ。大した高さじゃないし」
「あ、はは。花波さんお先にどうぞ」
「雨音ー!来いよー!」
花波さんに次を譲ろうとしたけれど下から啓に呼ばれて海をのぞきこんだ。先程まで泳いでいた場所と違って深くなっているのか海の色が深い。泳げるのだしみんな軽く飛び込んでいるから平気なはずなのにどうしても足が進まない。
何度も飛び込んでいる姿を見るとまるで海に呼ばれているみたいに見えて、そう考えていると後から登ってきた一人の男の子が私の体を持ち上げた。
「わぁっ!」
「あきらー!行くぞー!」
待って!と言う間もなく投げられた体は海に落ちていく。
ードボンッー
と水の中に落ちる音。
冷たい水に全身が包まれた時、思わず目を閉じた。暑い日差しに照らされていた体に心地よい温度に怖がっていたことが馬鹿みたいに思える。この場所は先程より深いところだからか少し水温が低いことに気がついたけど、そろそろ潜るのにも息苦しくなってきて上に上がろうとしたその時、足がなにかに引かれたように動かなくなった。
(あれ…?)
痛いわけじゃないから足がつったとかではない。本当に足首をがっしりと掴まれているような感覚でサァっと血の気が引いていくのがわかる。
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