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「トイレなら病室にも付いてますよ。廊下のトイレは今木村先輩が使ってますから。見え透いた嘘をつかっ!!」
千葉先輩が私の手を振り払った
その拍子に私も千葉先輩も尻餅をつく
何事かと廊下の人々の視線が集まる
千葉先輩がそれでも歩こうと立つ
歩き始める千葉先輩の手を慌てて立って捕まえる
「放して蕾ちゃん。僕行かなきゃ」
「どこに?どこに行くんですか?千葉先輩は病室にいるべきです」
「病室なんて、ずっといるわけにはいかない」
「ダメ!」
千葉先輩は小さくため息をついた
「もう1度だけ言う。手を放してくれ」
「放しません」
千葉先輩はヤレヤレと首をふって
「じゃあ仕方ない」
と呟いた
「そうです。戻りま…?」
何か、千葉先輩の顔…近づいてきてない…?
どっどうしよう!!なななな何してんの!?止めなきゃ!!動けない!動け、私!欲望に打ち勝つのよっ!!ああああダメダメ待ってええ!!
千葉先輩の顔がスレスレの所で止まった
『ごめん』
千葉先輩の唇が動いた
え?
私がポカンとした一瞬を突き、千葉先輩が身を翻して走り出した
「あっ!まっ!!」
千葉先輩を追いかけるけど背中はどんどん小さくなって、階段に差し掛かるととうとう見えなくなった
どうしよう!!千葉先輩見失った!
木村先輩に報告……
ダメだ、男子トイレ!!
他には…柳さんしかいないけど…あんなダラダラしてる人が探してくれるかな…
でも一人じゃ…
考えている暇はない、仕方ない、かけてみよう!!柳さんに!
そう思って私は病院の売店へ駆けた
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