千葉と死神

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空も、風も、自然と呼ばれるものは全て僕たちの意向をくんでくれない それを改めて思い知らされるような青空だった 僕が不安だろうが青空は不釣り合いな青で、風も心地よかった 「最初に、守さんは伝言を残していません」 驚いた、と言うほど驚かなかった 「では誰の??」 「それは最後に教えます。まず内容を聞いてください」 増して不安になるが、聞かないと後悔する 「わかりました」 僕がそう言うと、田口医師は一瞬微笑んでから告げた 「これで最後のゲームです。最後のゲームは千葉くん、君にプレイしてほしい。最初の地で待っている。いつ来ても構わない。楽しみにしてる」 それを全部聞き終わるまで、回りの音はザワザワと葉が擦れ会う音しか聞こえなかった 「田口医師、あなたは死神とグルなんですか?だとしたら春宮先輩の手術も信用できない」 「それは大丈夫です。手術はちゃんとしましたよ、他の医師に聞いてみてもいい」 「手術の件は信用しましょう。ですがあなたはここで捕まってもらいます」 僕は手錠を出した それに対して、田口医師は薄く笑った 「やれるものなら、やってごらん」 「できないとでも?」 「ああ、できないよ」 奴には切り札がある 今までの不安を包み込むような大きな不安が胸にのしかかった
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