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******************************かつて教会だった廃墟で青年はため息をついた
その秀麗な顔は月明かりとパソコンの明かりでいっそう美しく見える
肘掛け椅子に座った青年、死神はパソコンを一度閉じ、自分の右に立つ微笑んでいる翼の折れた天使の石像を見上げた
「アイツは来なかった……」
オモチャを取られた子供のような声で呟いた
「……死んじゃったみたいだ」
石像を見上げていた目が悲しそうに光った
死神が目を石像から目を逸らした
しかし死神は驚いたようにまた目を石像に戻した。死神は目を悲しみではなく好奇心で輝かせていた
「そうか…そうだよね!流石は天使様だ!!そうだよ、まだゲームのできるやつがいる!!」
死神は肘掛け椅子から飛び上がってステンドグラスの側へ駆け寄った。そして両手を広げて叫んだ
「春宮!君はゲームの続きをしたいんだね?そうだろ?うん、きっとそうだ!!歓迎会を開こう!春宮、君のための歓迎会だ!!」
死神は狂ったように笑った
笑い声が響いた後また廃墟に静寂が戻った
死神は静かに囁いた
「君なら出来るよ春宮…僕を早く止めないと皆…皆死んじゃうよ」
囁き声は悲しみを滲ませて消えていった
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