私の職場のスーパードライ

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 部長は前髪を掻き上げて「それにしても」と続けた。 「俺はビールじゃねぇっつーの」 「いえ! そのスーパードライじゃないですから」  思わず冷静にツッコんでしまった。部長は一瞬の間を置いて、ぷはっと吹き出す。 「西園、真面目。ははは」 「なっ! だって……」 「面白いな。東の西さんは。あはははは」 「…………うう。馬鹿にしてますね」 「そんなこと無いって。くくくくっ」  部長は口元に手をやり、肩を揺らしている。私は俯いて上目遣いにその顔を見た。  落ちた髪、糸のように細められた瞳。  見たことの無い、楽しそうな笑顔。 (いつもと全然違う。髪型の所為かしら?)
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