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殺人的な美しさ。
ハッとして見ると、案の定、目の前にいた薫は魂を抜かれたような顔をしていた。
「おや……こちらはどこのヒメかな。なかなかに美しい」
そう言うと青年は薫の顎に長い指をかけて持ち上げた。ぼんやりしかけていた瑛太はぎょっとして我に返る。
(はぁっ!?)
こんなストレートなナンパなどはじめて見た。
瑛太は反射的に後ろ足を蹴り出す。飛ぶようにして薫の傍に行き、「薫に触るな」と男の腕を掴んだ――
――はずだった。だが、掴んだはずの腕が手の中で霧散する。
かと思ったら、頭上から押しつぶされるような強烈な圧迫感とともに、今までに味わったことのないような凄まじい頭痛、吐き気が瑛太を襲う。
不快感から逃れたい、そう思った次の瞬間、猛烈な眠気が来た。
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