一 自称神様拾いました。

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 *  神様みたいにきれいな青年が瑛太に吸い込まれた。  神様なんて見たことないし、見たことがあっても嘘みたいな話だけれど、薫が見たことを未熟な語彙でそのまま表現すると、そうとしか表せなかった。 「……瑛太? 大丈夫?」  いくらなんでも見間違いだろう。  目をぱちぱちと瞬かせたあと、かがみ込んでしまった瑛太に恐る恐る声をかけると、 「う、うぅ……なんだ、この邪魔くさいものは……」  と瑛太がうめいた。ホッとしつつもまだ辛そうな様子を見て薫は彼の背を撫でる。すると、瑛太はびくっと体を震わせ薫を見上げた。 「そこな娘、手を貸してくれぬか」 「は?」  娘というのは何の真似だ。薫は真顔で突っ込もうと思ったけれど、口が固まってしまって言えなかった。 (え、え、これ……誰?)  瑛太は眼鏡をかけていなかった。  小学生の頃、女の子のように可愛かった顔は、少しのあどけなさを残すものの、端正に成長していた。  つまり、今風に言い直すとイケメンになっていた。  だが、瑛太は頑ななくらいに眼鏡を外さなかったはず。本人曰く視界が不明瞭なのが嫌いだということだが、こだわりの強い彼が意味もなく素顔を晒すとは思えなかった。  瑛太の目はひどく澄んでいて、どこか朝露を思わせる。彼の顔が可愛いと思ったのは、おそらくこの目のせいだろう。
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