四 太陽神の女神

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「なに、ちょっと瑛太くん、さっきから聞いてたら何なのその変な口調に生意気な言い草!」  薫は慌ててカミサマの首根っこを掴むと、 「ごめんなさい絵麻さん、こいつこの頃こういうのがブームで!」  と無茶なフォローをして引っ張っていく。  だが、カミサマの口は閉じない。靴を引っ掛けながら後ろを振り返り、捨て台詞のように吐き捨てる。 「そなたは金が無いと言い、海とやらは時間が無いと言う。その足りぬ二つは、私には同じものだと思えるのだがな。金がなければ時間を使うしかないし、時間がなければ金で買うしかないのだから。  無いものを嘆くのではなく、考えて工夫せよ。そなたがそんな風に放っておくと、そろそろ愛想を尽かして浮気の一つでもするかもしれぬぞ? いや、すでにしておるかもしれぬな」  薫は瑛太ごと殴りつけたい気分で、社務所から飛び出す。 (あー、もう! カミサマ、何やってんだよ!)  どんな反応をしているか怖かったけれど、薫は恐る恐る振り返る。  絵麻さんは呆然としていた。 《第四話 太陽神の女神 了》
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