一 自称神様拾いました。

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「あなたは、二ノ宮瑛太、でしょう?」 「それは、この憑坐の名前だろう?」 「よ、よりま、し……?」  言葉の意味を噛みしめ、先程の不可思議現象とともに呑み込んだとたん、薫は蒼白になっていた。 (これはもしかして、憑依とかそういうやつじゃあ……! え、え、もしかしてお化け屋敷の幽霊とか!?)  一気に逃げたくなるけれど、瑛太を置いていく訳にはいかない。薫はぐっと恐怖を押さえつけて訴える。 「え、瑛太を返してもらえませんか!」 「そうはいかない。わたしの家を壊してしまったのだから」 「家って……そこ?」  母屋を指差すが、瑛太の体を乗っ取った《何か》は首を横に振った。  そして残骸を指差す。少し前まで社だったものを。 「え、そこって――お社……?」  お社の前には鳥居の残骸もある。ということは、あれは寺ではなく、神社だ、と思った。 (つまり、瑛太に憑いているのは《神様》!?)  辿り着いた結論に薫は飛び上がりそうになった。
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