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「あなたは、二ノ宮瑛太、でしょう?」
「それは、この憑坐の名前だろう?」
「よ、よりま、し……?」
言葉の意味を噛みしめ、先程の不可思議現象とともに呑み込んだとたん、薫は蒼白になっていた。
(これはもしかして、憑依とかそういうやつじゃあ……! え、え、もしかしてお化け屋敷の幽霊とか!?)
一気に逃げたくなるけれど、瑛太を置いていく訳にはいかない。薫はぐっと恐怖を押さえつけて訴える。
「え、瑛太を返してもらえませんか!」
「そうはいかない。わたしの家を壊してしまったのだから」
「家って……そこ?」
母屋を指差すが、瑛太の体を乗っ取った《何か》は首を横に振った。
そして残骸を指差す。少し前まで社だったものを。
「え、そこって――お社……?」
お社の前には鳥居の残骸もある。ということは、あれは寺ではなく、神社だ、と思った。
(つまり、瑛太に憑いているのは《神様》!?)
辿り着いた結論に薫は飛び上がりそうになった。
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