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「つまり、あなたが祀ってある神社を探せばいいんですね? そうしたら、あなたも瑛太も助かる? 本当に?」
「疑うのであれば、宇気比でもするか」
「うけい?」
「占ともいう。そうだな、そなたが三つ数えた後、日が現れる。現れなければ、私はこの体からすぐに離れよう。だが現れれば私のことを信じて、私の名前を探すと誓約してもらえぬか」
つまりは賭け事ということだろうか。
空を見上げる。分厚い雲からはとても陽が射すとは思えない。
「え、でも瑛太から離れれば消えるって」
「私は、神だ。それをそなたに見せ、信用させたいのだ」
真剣な瞳に背を押される。薫は頷くと、ゆっくり三つ数えた。
(いち、に、さん)
瑛太がニッコリと満足そうに頷いたときだった。
「約束だぞ。私の名前を探してくれ――」
まるでその笑顔に反応したかのように雲が割れ、ぱっと空から光が射した。
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