955人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、爽やかくんに変身した瑛太は、喜ぶどころか凄まじく怒っているらしく、顕になったこめかみには青筋がたっている。
「美容室に”行ってしまいまして”」
まるで失敗を告げるように言うので、母が不思議そうに首を傾げる。
瑛太はぎん、と眼鏡の奥の目をとがらせ薫を見ると言った。
「昨日のハルさんとこのボランティアの件で話があるんだけど」
「あー……うん、わかった」
母の興味津々な目を気にしてぼかしたのだろう。察してサンダルからスニーカーに履き替える。
母が「まだ寒いよー」とパーカーを持ってきたので受け取ると、「ちょっと散歩してくる」と適当に言い置いて家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!