五 京都、実質三泊二日の弾丸旅行

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「意識の問題って?」 「薫さ、石の前で願った願い事って、簡単に叶うものだった?」  薫は小さく頭を横に振った。瑛太は「やっぱり?」と満足そうに相槌を打った。 「……俺は、昼間、叶うかもしれない願いごとをしながら持ち上げたんだ。つまり軽いんじゃないかって、軽くあってくれって心のどこかで期待してた。だから期待値に対して相対的に重く感じた。  だけど、さっきは凄く軽かった。一度目に叶わないって言われたから、叶わない――つまり重いだろうと思いながら持ち上げたんだ」  それで実験と言ったのか。薫は納得する。 「でも、それって、つまり石はただの石で、カミサマ関係ないって言ってるようなもんじゃ」  何という罰当たりな考察だと思って、周りに人がいないことにほっとする。
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