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「ねえ、それ、どういう心境の変化? 色気づいた? ようやく女子にもてたくなったわけ?」
薫が歩きながら尋ねると、
「ちがう………これは、アイツにやられたんだ」
「アイツ?」
「髪切るのは四ヶ月に一回でいいのに。しかも美容院に行きやがった!! 津田沼の! 深夜営業の!! サービス料10%加算の!! しかも整髪料まで買いやがって!」
話が飲み込めない薫が首を傾げていると、
「――《神様》にやられたんだよ!」
「え、でももう離れたかと思ってたのに」
「寝てただけみたいだ。俺が寝てる間に、俺の貯めた一週間分のバイト代使い込みやがった!」
半泣きの瑛太は言った。
ひい、と喉の奥で薫はうめいた。
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