一 自称神様拾いました。

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 瑛太は二ノ宮神社で細々とバイトをしているのだ(校則違反になるので、家の手伝いの小遣いとしてバイト代をもらっているらしい)。  一日二時間ほどの社務所での受付や、境内の掃除を引き受けている。  時給は労働基準法で定められた最低賃金。それが一気に飛んでいったらしい。  カット一回でそれは、痛すぎるかもしれない。薫でも泣きそうなのだから、守銭奴瑛太ならば泣いてもしょうがない。 「え、ってことは……」  ふ、とこの状況を引き起こした原因に思い当たる。 「名前を見つけるって約束したんだろ?」  ようやく事の重大さが理解できた。  どこが結果オーライだろう。事は全く終わっていなかった。青ざめる薫を瑛太は睨んだ。 「めちゃくちゃ不本意だけど、協力してやる。さっさと名前見つけないと、俺の貯金が死ぬし!」  こうして、薫と瑛太の《神様の名前探し》は始まったのだった。 《第一章 自称神様拾いました。 了》
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