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同じ町内に住んでいて、幼稚園から高校までの腐れ縁だ。
弟分の彼とは意思疎通に時間はいらない。そして遠慮も皆無だった。
「え、ボランティアって書いてあったよね? お金なんて出ないよ」
「いや、うちの家族が誰も行きたくないからって、俺に押し付けたから、親に正当な賃金要求しただけ」
なあんだ。いつものことか。薫は呆れてため息を吐く。
「変だと思ったんだ。守銭奴の瑛太にはボランティア似合わないし」
「人の厚意に付け込んで強制的にタダ働きさせようっていう方が、守銭奴よりよっぽど酷い。そういう搾取を許す風潮がブラック企業を作るんだよ」
瑛太は薫の説教など聞く耳を持たないと言った様子で門――と言うよりはブロックの塊だが――をくぐる。そして、直後立ち止まった。
「っていうかこれ、金貰わないとやってられねーだろ。業者入れろよ……ボランティアの域を超えてる」
瑛太は前髪をかきあげ、うんざりとため息を吐くと、前方を指差した。
薫は、思わず目を見張り、
(あ、わたしもお小遣いもらっておけばよかった……)
と、瑛太に賛同する。
大人たちで造られた垣根の向こう側には、想像以上のゴミの山が積み重なっていたのだった。
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