一 自称神様拾いました。

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(さっきだって、俺が口出ししなかったら室内掃除プラスゴキブリ退治だろ。どうする気だったんだよ)  そして助け舟に本人が気づくことはない。 (いつまでなんだろうな、これ)  見えない未来に僅かに鬱屈しかけた時、ふ、と日が陰り、あたりが暗くなった。  瑛太は思わず空を見上げ、雲に隠れた太陽に目を眇めた。  そのとき、バリ、という雷のような音が響き渡った。  ぎょっとして振り向き、瑛太は目を見開いた。  薫が呆然と立っている場所のすぐ近く。  草の中にもうもうと立ち上る埃が治まると、ポッカリと何かの残骸が広がっていた。記憶を辿って思い出す。 (そうだ。この場所にあった非日常的なものって言うと――)  瑛太自身にとっては割りと身近で。だけど、普通はこんな家の庭にあるはずのないもの。 《社》が、ここにはあったのだ。 『神様ってこんなところにも居るんだぁ』 『そんなもの、いないよ。だって見えねーし』 『見えないからっていないとは限らないよ。なんなの、瑛太って神様、信じてないの? 神主さんの孫のくせに』  幼いころ、ここに忍び込んだ時の会話が鮮やかに蘇ったと同時に、当時の風景も眼裏に浮かび上がった。
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