Chapter.4

13/16
前へ
/275ページ
次へ
―――… フェルディナン様。どうされました?」 不意に笑みを零した自らの主に、リカードが問いかける。二人は今、王都からの街道を歩いている所だった。 「こうしてお前と歩くのは、久々だと思ってな。少し、昔を思い出した」 「こっそりと、城を抜け出していた頃の事ですか?」 少し呆れたように言うリカードに、フェルディナンは頷く。 「お前も知っての通り、養母であったエルザに止められていたからな。そうやって外に出るしかなかった」 「それで叱られるのは、私だったんですけどね」 苦笑するリカードに、フェルディナンは楽しそうに笑った。そんな笑顔を見るのもまた久々だと、リカードは思う。 そして、目的の町が見えた時、フェルディナンが感嘆したような声をあげた。 「ここも、賑やかになったな」 「そうですね。他国からの旅行者も増え」 リカードはそう言いながら、道端で町人と会話をしている男に目を止める。
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加