序章

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かつて、この大陸の地を初めて踏んだ時、賢者イシスは言った。 『この漆黒の大地に、笑顔と光の溢れる王国を創ろう』と。 賢者イシスは仲間を連れて、遥か海を隔てた国からやって来た。 彼らの故郷は魔術師の王国であり、イシスは王だった。しかし、たった一人の讒言により、国を追われる立場となったのだ。 一度は国を取り返そうとしたものの、結果は敗北。故郷を去るより他に、選択肢は残されていなかった。 そうしてイシスは、海を渡る決意をした。数十人の仲間と共に幾度もの嵐を乗り越え、ようやく辿り着いたのは、誰も住まないような、不毛とも呼べる大陸だった。 最初は落胆した彼らだったが、それ以上行く場所など彼らには無い。この大地を潤し、永住の地とする事を決めた。 イシスが中心となり、長い時をかけて人が住めるように開拓を始めた。イシスが亡くなった後は、彼の子孫、そしてその仲間の子孫が、受け継いでいく。 その後、大陸全土に彼らの子孫は散らばっていき、彼らは銘々の国を造っていった。 イシスが望んだような、笑顔が溢れる王国を目指して。 内のひとつが、グラニエ王国。 この物語の舞台となる王国である。
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