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***  学校から帰ってきた私は、自室でメイク道具とにらめっこをしていた。  昨日は、22時頃帰ってきた母が「最近、オシャレしたくなったんだって? 瑞希は中学の時からオシャレ好きだったから色々買ってあげてたけど、優には何もあげれてなかったわよね。いい機会だから使いなさい」そう言って化粧品とポーチを置いていったのだ。  今までメイクなどしたことのない私は、その道具をみても何に使うかなんてわからないのだけれど、未開封の化粧品を一つずつみれば、ファンデーション1つで5千円近くもすることを知り、私は倒れそうになるのを必死に堪えた。  全て計算してみれば、総額2万円近くになった。今、100円均一でだって化粧品くらい売っているのに、どうして母は私にこんなものをプレゼントしたのか理解できなかった。  まだ高校生の私がそんなに何万もする化粧品を使う意味があるのだろうか。いくらプレゼントとはいえ、使い方もわからない私がその全てを開封する気にはなれなかった。  そんなことをしているうちに、部屋のドアがノックされ、「お姉ちゃん?」と声をかけられた。 「なに?」 「机に向かって勉強でもしてるのかと思ったけど、違うみたい」 「うん」
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