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「お母さんから聞いたよ。メイク道具もらったんでしょ」
「そうなんだけど……こんなにするものなんだね」
「ねぇ。結構するよね。バイトしてる子達はみんないいもの持ってるけどね」
瑞希は、私の近くにやってきて未開封のメイク道具を見ながら「せっかくもらったんだから開けてみたら? 私なんて、始めてお母さんに買ってもらった時、嬉しくてすぐその場で開けたよ」なんて言った。
「うーん……。でも、私こんなに色々もらっても使いこなせないし、こんなに高いものじゃなくてもよかったと思うんだけど」
「下を見れば安いのもいっぱいあるけど、それより高いものだっていくらでもあるよ。お母さんが妥当なものを選んでくれたって思えばいいんじゃない? お母さん言ってたよ? お姉ちゃんは全然オシャレに興味がないから、女の子なのに心配だったけど、ようやく女の子らしくなってきて、彼氏もできそうで嬉しいって」
「彼氏って……」
「ほら、この前高瀬さん連れてきたから」
「またその話」
「うん……まあ、お姉ちゃんがその夏希……先輩だっけ? その人のことが好きなのはわかるけどさ、お母さんだってお姉ちゃんにはもっと可愛くなってもらいたいなーって思ってるんじゃないかな?」
瑞希の言葉を聞き、母も瑞希も私がもっとオシャレをして高瀬秋と付き合うことを望んでいるような気がした。
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