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次の日私は、学校へ行くため学生鞄を手に取ると、机の上に置いておいたメイク道具の入ったポーチが目に入った。
メイクをして学校へ行く気にはなれなかったが、母の気遣いが嬉しくないわけではなく、何となくそれを鞄へしまった。
『窓際の天使』に加えてお守りがもう1つ増えたような、そんな気分になった。
登校し、自分の席に座る。高瀬秋はいつも私よりも登校が遅いのだが、その友達の野村くんは、いつも私よりも早く隣の席に座っていた。
「おはよう」
「おはよう。なあ、今日日直。俺達」
そう言って彼は私に日誌を差し出した。
「あ、そうだった。ごめん、忘れてて。日誌取りに行ってくれたんだ」
野村くんは、わりと真面目な方だと思う。
今までは日直といえば私の方が覚えていて、いつも私が隣の男子に伝える役目だった。しかし、隣の席が野村くんになってからは、忘れ物もしなければ遅刻もないこの彼に私から何か言う必要もないため、自分のことだけ考えればよくなった。
それどころか、こんなふうに私よりも早く行動してくれるため、彼には頭が上がらない。
「いいよ。1限目の資料も貰ってきた。俺、配るから相沢日誌書いてくれる?」
「うん、もちろん。何から何までありがとうね」
「うん」
彼は、気にする様子もなく私に日誌を託すと、教壇に置いてある資料を配りに前に出て行った。
なぜ彼のようなタイプが高瀬秋と仲良くしているのかが謎だったが、客観的に見ていても2人は対等に友達付き合いをしているように見えた。
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