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「へー、ルールなんてあるんですか。誰が決めたんですかね、そのルール」 どこからかそんな声が聞こえて、一瞬思考が止まった。それと同時に、3人は一斉に声のする方を向いた。 「え……秋くん?」 「まじ?」 「やば……」  声の主を確認した3人は、その場で硬直した。 「何がやばいんですか?」 「しゅ、秋くん。これは違うんだよ」 「違うんですか? じゃあ、説明してもらえます?」 「こ、この子がさ夏希の邪魔してたんだよ」 「へー、夏希が邪魔だって言ってたんですか?」 「いや、それは……」 「じゃあ、夏希に確認してみますね」 「ま、待って!」  先程まで私を笑っていた3人は、血相を変えて、なぜかそこにいる高瀬秋に取り繕ってみせた。 「ひどいもんですね。3人がかりで後輩いじめるなんて」 「い、イジメとかじゃないんだよ。夏希が迷惑してると思ったから、教えてあげようと思って……」 「そうですか。じゃあ、俺もこういうことされると夏希が迷惑だと思うんで色々教えてあげましょうか?」  そう言って彼は笑うが、その目の奥は全く笑っていなかった。 「秋くん、怖いこと言わないでよー。私たち別に、ねぇ?」 「そうそう。夏希に迷惑がかからなきゃそれでいいよね?」 「う、うん。この子のせいで夏希が絵に集中できなかったらかわいそうだなって思って」 「あのさ、先輩達。さっきから夏希、夏希って全部夏希のせいにしてるけど、全部自分達のためだよね? 後輩からいろんなもの取り上げて大事なもの踏みつけて笑って。自分達の捌け口のために夏希のこと利用しただけでしょ?」 「違うよ!」 「いやいや、言い訳しなくていいから。全部夏希に言うから」 「え……」 「あの、秋くん……」  高瀬秋のこんな顔は見たことがなかった。音楽室で見た彼も怖いと感じたが、その時とは比べ物にならないほど、彼から憤りを感じた。
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