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「というかさ、何でその夏希さんはお姉ちゃんと行きたいって言ったのかな?」 「し、知らないよ」 「もしかして、お姉ちゃんのこと好きなの?」 「まさか! 夏希先輩は皆に優しいから、多分男友達もいなくて一緒に行く人を探すことに困ってる私を助けてくれたんだと思う……。多分だけど」 「ふーん……」  瑞希は、自分から質問をしたくせに、なぜか不服そうな顔をした。 「だから、余計にそれでひかりのこと気に入ったりしたらやだな……。私って、嫌なやつだよね。そんなふうに思ったりして」 「別に普通のことでしょ。その野村って人だってお姉ちゃんみたいにそれが嫌で秋さん以外の人をって言ったんでしょ?」 「そうだけど……」 「それならいっそのこと秋さんも一緒に連れてっちゃえばいいじゃん」 「えぇ!?」  瑞希が突拍子もないことを言うものだから、私の声はひっくり返り、間抜けに聞こえた。 「……ひかりちゃんが秋さんのことを好きなら、最初から秋さんを入れちゃえば丸く収まるじゃん」 「いや、それじゃあそもそも誘わなかった意味がないじゃん。それに、それだと野村くんが……」 「その野村くんとお姉ちゃんの自分の気持ちはどっちが大事なの? 秋さんは、お姉ちゃんのことが好きなんだから、ひかりちゃんがいても大丈夫だよ。でも、夏希さんはお姉ちゃんのことが好きなのかどうかもわかんないじゃん」 「……高瀬秋だって本当かわかんないじゃん」 「じゃあ、4人で行ってお姉ちゃんは野村くんと仲良く花火見てくればいいじゃん」  瑞希は時々すごく意地悪だと思う。私には、野村くんの頼みを引き受けた以上、私から高瀬秋を誘うなんてできない。
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