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「お姉ちゃん、皆幸せになんて無理なんだよ。人間には感情があるんだし、全部が全部自分の思い通りになんてならないよ」
「それはわかってるけど……」
「その野村くんとひかりちゃんと秋さんは3人で仲良いんでしょ? それなのに、ひかりちゃんは秋さんのことが好きだってわかってるなら例え花火に一緒に行ったところで関係は変わんないと思うよ。それどころか、もしかしたらお姉ちゃんが夏希さんとひかりちゃんの背中を一押ししちゃうかもしれないんだよ?」
「……どうしたらいい?」
「私は秋さんを入れるのが一番いいと思うけど?」
「でも……、夏希先輩には……」
「それなら、私が一緒に行こうか?」
「え?」
「どうせ、お姉ちゃんのことだから夏希さんとひかりちゃんが仲良く話しだしてもなにもできないでしょ? もしそうなったら私が二人の間に入るから」
「……そんなの、納得するかな?」
「するかじゃなくてさせるの。野村くんって人に、妹が一緒に連れてけってうるさくてって言えばいいじゃん」
瑞希は、自分になんのメリットもないというのに自ら悪者になろうとそんなことまで言い出した。
「それはできないよ」
「何でよ。言えばいいじゃん」
「だってそれだと瑞希を巻き込んじゃうし」
「いやいや、もう巻き込まれてるでしょ。いいの? ひかりちゃんにとられても」
「それは嫌だけど……」
「じゃあ言いなよ」
「考えてみる……」
まさか、瑞希まで一緒に行くという話になるだなんて思ってもみなかった。
けれど、夏希先輩のことが好きだと知っている瑞希なら、本当にひかりが先輩と仲良くなるのを阻止してくれるような気がした。
しかし、高瀬秋がいる前で夏希先輩と会話をしたことがないため、あのメンバーで出かけるということに抵抗はある。
ましてや、昨日助けてもらう前も散々避けてきたわけだし、気まずくないわけがなかった。
とは言え、私には瑞希のように解決策が思いつくわけでもなく、だからこそ今に至るわけで、何が一番良い選択なのか更にグルグルと考えるとことになった。
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