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「あっそ。でも自惚れんな、俺はお前より相沢の方が可愛いと思ってるから」  思わずそう言ってしまった。 「……ふーん」  相沢妹は、一瞬驚いたように目を丸くさせた後、意味深な笑みを浮かべた。 「なんだよ」 「別に。そういうことなんで、私の協力を無駄にしないでくださいね」 「……わかってる。でも、なんで夏希はだめなんだよ」 「……夏希さん、皆に優しいでしょ?」 「あ? そうだな」 「それって、今はいいけどもしお姉ちゃんと付き合うことになったら、その後お姉ちゃんが不安になると思う」 「ああ……なるほど」  相沢妹の発言に納得できた。  おそらく、夏希は彼女ができたところで他の女子にも優しくするだろう。まして、半年後には夏希は卒業し、目の届かないところにいってしまう。  そんな時、アイツはいらぬ心配をするだろう。先のことまで考えれば、たしかに夏希と付き合っても相沢が幸せになれるとも言い切れなかった。  そんな先のことまで考えて行動しているこの女を、俺は少し怖いとすら感じた。  そんな話をしている内に、空でバンっと大きな音が響いた。反応して見上げれば、赤と緑の花が空に咲いていた。 「あーあ、始まっちゃった」 「席とってなかったな」 「ねぇ、誘ったからにはそういうところしっかりしてよ」  俺たちの目の前で、三浦と野村がぎゃあぎゃあとわめく。案外お似合いなのなかもな。 「どこかで座ってみようか」  穏やかで落ち着いた夏希の声で、全員は静かにその言葉に従った。
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