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 三浦は立ち上がると「夏希先輩、かき氷買いに行きませんか?」そう言って夏希の隣にしゃがみこんだ。 「かき氷? 食べたいの?」 「はい!」  その光景をみた野村は、複雑そうな顔をしていた。当然だ。  だがしかし、アイツは自分のために相沢を利用し、あろうことか夏希とのデートになりかねないような計画を立てていたのだから、これくらいのことを我慢するのは妥当だろう。  そう考えていると「じゃあ、優ちゃんも食べる? かき氷」と隣にいた相沢に声をかけた。 「え? あ、はい。じゃあ……」  相沢は、夏希の言葉に頷いていた。馬鹿だ、俺。  相沢は夏希が好きで三浦と接近するのを避けたいはずだ。そりゃ、易々と夏希と二人で行かせるはずがない。  3人が立ち上がり、出店の方へ向かおうとする。 「何してるんですか」  すかさず、俺の失態を指摘する相沢妹。 「仕方ないだろ……」 「まあ、野村さんが行って2対2になっちゃうよりかはマシだと思いますけど」  そう相沢妹が言った瞬間、「俺もかき氷食いたいな。ちょっと俺達行ってくるわ」そう言って野村は俺達の方を振り返った。  空気の読めないコイツの行動に苛立ちを覚える。何してくれてんだ、コラ。 「え、良輔も来るの?」 「いいじゃん。いいですよね、夏希くん」 「もちろん、俺はかまわないよ」  結局頑なに嫌だと断った俺がここで一緒に行けるはずもなく、呆れる相沢妹と二人で留守番をすることになったのだった。
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