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私は、この17年間一度も恋愛をしたことがない。正直どうやって恋愛をすればいいのかわからなかった。
早い子では、小学生の時には彼氏、彼女がいて、手を繋いで登下校している子もいた。
高校に進学すれば、自ずと恋愛できるものだと思っていたのだけれど、現実はそう甘くない。
当たり前か……。
中学からの友達である三浦ひかりは、とびっきりの美人でこの高校でも毎日騒がれている。
名前の通りひかり輝く笑顔を振り撒いて、誰にでも好かれる勝ち組だ。彼氏だってすぐにできて、皆ひかりに尽くしてくれる。
あーあ、私だってひかりの顔に生まれてこれたらもっと幸せになれたのに。
毎日そんなことを思う私は、ひねくれ者だ。
だって仕方がないじゃない。世間はブスに冷たくて、美人には優しい。そう相場が決まっているのだから。
相沢優、こんな優しいだけが取り柄みたいな名前、大嫌いだ。かと言って、私の名前がひかりだったなら、名前負けだと罵られただろう。
名前でいじめられなかったことだけが救いだ。
こんなブスでひねくれ者の私を癒してくれるのは、この本だけ。
私は、誰もいない昼休みの音楽室で、そっと本を開いた。
睦月明奈という著者の「窓際の天使」だ。
私は、この恋愛小説が大好きだった。中学3年の時、本屋でたまたまふと手にとった本だった。恋愛というものに興味を抱き始めていた私は、すぐにのめり込んだ。
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