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 私は、今朝届いた手紙を封筒に戻した。この手紙を読んだとき、私の胸はいっぱいだった。  私と相沢様との出会いもきっとなにかの巡り合わせではないでしょうか、だって。なんて素敵な言葉なのだろう。  手紙を出してから3日で届いた手紙。  今までで最短だった。睦月さんの中に私の存在がある。そう思うだけで今日も明日も乗り越えられそうだった。本当に乗り越えられるかは別として。  何度明日という日がこなければいいと願ったことか。しかし、明日を乗り越えなくては、私が毎日夏希先輩を見ていることを本人に伝えられてしまう。  明日だけ我慢して、あいつの荷物持ちを頑張れば私は解放される。  明日はとうとう高瀬秋が夏希先輩に言わない変わりに買い物へ付き合えと言った日だ。  午前10時に指定されたショッピングモールへいかなければならなかった。  私はもともとインドア派だし、誰かと外出というのをするほうではない。  その私がよりによって、苦手な人間の駒使いにされるのだ。屈辱極まりない。  しかし、ここで覚悟を決めなければ、夏希先輩を見ることができなくなってしまう。  私は諦めて手紙を引き出しの中にしまい立ち上がると、クローゼットを開けて並んでいる服を眺めた。  別に買い物に行くだけだしなんでもいいか。動きやすいTシャツにジーンズにスニーカーと、明日の服装を確認する。  遅刻したらまたぐずぐず言われそうだし、とりあえず服の準備くらいはしておこうと、適当に服をクローゼットから出した。
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