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「そういうわけだから、お姉ちゃんもできるところから頑張ったら」 「頑張るったって」 「そんなんだと好きな人に振り向いてもらえないよ」 「べ、別に振り向いてもらおうなんて思ってないし」 「ふーん、振り向いて欲しい相手がやっぱりいるんだ」 「ちょ、試したわね!」 「そんな気がしてただけ。お姉ちゃんにとって参考になるかわかんないけど、これも貸してあげる」  瑞希は、服と一緒に持ってきた雑誌を2、3冊私に差し出した。  ファッション雑誌だなんて生まれてこの方一度も読んだことがない。だって、モデルはみんな可愛くてスタイルがいいんだもの。  私が読んだところでこうなれるわけではない。 「いらない。読まないし」 「パラパラみてみるだけでも気持ちが変わるって!」 「変わらないわよ。私はいいの、興味ないし」 「またそんなこと言って。いざという時に勝負できないよ、それじゃ」 「いざという時っていつよ」 「いつくるかわからないから準備が必要なんじゃない」 「わけわかんない……」 「お姉ちゃんにもその内わかる日がくるよ。とりあえず、明日は楽しんで」 「楽しくなんてないわよ」 「わかんないじゃない。だってお姉ちゃん、デートしたことないんでしょ?」 「だからデートじゃないって」 「はいはい。まあ、当日はお姉ちゃん次第だからね。頑張って」  瑞希は私に渡したワンピース以外の服をまとめると、早々に話を打ち切って私の部屋を後にした。
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