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午前中を使った説明が終了した。
長い説明だったが、必要なことは書類に全て書いてあったので、重要と思われる部分には赤線を引いておいた。
各自が受講する授業を登録するまでには時間がある。だが、今は大丈夫でも、上に上がると定員オーバーで受講できない授業など出てきてしまうらしい。それはとても困るので、早いうちに受講する授業登録を済ませてしまうことを、四年間続けようと秀は思った。
「な、秀はこれからどうするの?」
ふと問われて、そういえば、隣には祐也がいたんだと気付く。
いつもの癖で、自分一人で歩き出すところだった。
が、そんな秀のそぶりなど気付いていないと言うように、祐也はさらに言葉を連ねる。
「良かったらさ、食堂で昼食べて、受講科目決めないか?」
と。
あー、そうか。と思う。学校で授業を決めてそのまま登録してしまえば、早くの登録になるのだ。
帰る気でいた自分を、秀はバカじゃないのかと思った。
「かまわない」
一言だけ告げる。
どうも、どうしてもまだ、会話というものが、わからない。
祐也には気付かされてばかりいるな、と秀は自嘲した。
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