大学生がやるべきこと?

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「良かった。俺一人暮らしだからさ、昼一人とか寂しいじゃん。せめてガッコある時は誰かと食べたいんだよね」  その誰かはもちろん秀が良いんだけど、と心で付け足しながら裕也は笑う。  春休みにこの大学の近くに引っ越してきてから、一人で食べる御飯の味気なさに、当初の一人暮らしへの喜びなど吹き飛んだほどだ。 「一人暮らしなのか」  祐也の言葉に秀が反応した。  秀も一人暮らしと言えば、一人暮らしなのかもしれない環境である。  食事はほとんど一人で食べていた。たまに従兄弟たちが昼に誘いにはくるけれど、そういう時以外はほぼ一人だ。 「そうそう。俺ん家この大学までは通えない距離なんだよなー」  そう言いながら、荷物を持った祐也は「行こう」と歩き出す。  行先は食堂と分かってはいたが、秀はこの学校をまだ見取り図でしか見ていない。説明のある教室は見取り図を頼りに入ったのだ。  食堂の場所を、見取り図も見ないで歩いて行く祐也に、秀は少し驚く。 「祐也は学校の中、もう見て歩いたのか?」  そうでなければ、納得できない自信のある歩き方だ。  自分でもすんなりと名前が、そして質問が飛び出したと思う。
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