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すでに遠くなってしまった秀の顔に、祐也は少し残念に思いながら、アホなことを考えてる場合じゃないと、切り替えようとする。
「祐也は、サークルとか入るのか?」
おぉぉ?俺に聞いてるよね、秀は俺に聞いてるよね。
ちょっとまだバカな頭が残っているが、秀とのせっかくの会話に集中しなければ、と祐也は思う。
「ん。軽音入るつもり。秀は?」
大丈夫だ俺、平常心だ。などと頭はバカになったままだが、返答はちゃんとする祐也。笑顔つきで。
なんなら秀も入る?的な感覚で。ていうか、一緒にサークル入りたい。もっと一緒にいられるじゃないか。あ、ダメだこれ、また煩悩がよみがえってる。
「俺は、入る気ないな」
バッサリ切られて煩悩も吹っ飛んだ。
「えぇぇぇ?秀、もったいない!せっかくの大学生活だぞ。サークルとか入ったりして、色々交流深めたりとか!」
もちろん俺と!
あ、煩悩去ってなかった。でも俺ちゃんと心にしまった。えらい、俺。
祐也が少し強く言ったためか、秀は体ごと少し引いてしまった。
ぐ、引かれた。でもめげない。秀と長く一緒にいるためだ。頑張れ俺。あれ、やっぱり煩悩だらけだ、俺の頭アホだ。
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