プロローグ

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 霊安寺に、預けられて……母や父よりも、住職を慕っていた。優しくて、厳しくて。でも、子供らしくいて良いんだと、悪戯なんかを教えてくれたのも住職だった。  兄のことは、尊敬している。  早くから、自分の力を見極めて、それこそ総帥にふさわしくあるために、厳しく育てられたはずなのに。  優しい眼差しは、かわらず俺を見てくれていた。 「でも、俺が大学へ行くのは……」  既に、すぐ上の兄はアメリカ留学をしている。  従兄も、大学生だ。  家が貧しい訳じゃない。どっちかというと、裕福である。  どこからこんなにお金が入ってくるか、よくはわからないんだけれど。  多分、俺が大学へ行っても、問題はないんだろう。だから、兄は提案しているのだ。  俺は、高校生活でも、友人を作らなかった。否、作れなかった。  自分の力を知られるのが、怖かったから。  そして、何よりも、人間が恐かった。  ここにいる、仲間は大丈夫だ。大事な仲間、友人だと思っている。  でも……人の、人間の体温が恐いだなんて、そんなこと言えやしない。
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