さぁ、授業を決めよう

7/7
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/547ページ
 秀は、ぽっかり空いた時間の部分を、トントンとペンでつついていた。 「何?時間開いたの気になるの?」  たしかに、今までの学校生活で、こんな風にぽっかり空欄ができることなんてなかったから、祐也も自分の授業用紙の空欄に違和感がある。 「なんか、さ。違和感?」  同じことを考えていたらしい秀に、祐也は笑う。 「でも開いた時間あると、やらなきゃいけない課題とか、その時間に出来るじゃん。時間の使い方次第じゃない?」  あー、なるほど。秀は納得する。  やっぱり俺、祐也に教えられてばかりだな、と少し自嘲まじりの笑みが漏れる。 「時間の使い方次第、か」  ふっと笑った秀がなんだか儚く見えて、祐也はついつい手を伸ばして、秀の手に触れていた。 「え?なんだ、祐也?」  振りほどきはされなかったが、俺唐突に何してんだよ、と慌ててしまう祐也。  秀は秀で、裕也に触られてるのに、いつもみたいに振り払ったりとか、俺してない。と困惑だ。 「え、や、えーっと、だな。秀の手綺麗だなって」  なんだその良い訳はー!俺変人じゃないから。違うから。いや、たしかに秀のことは好きだから、男を好きになるとか変かもしんないけど!秀だけだから!変なことも確かに考えてるけど、それだけじゃないし!  あきらかに、自分でも戸惑ってます、という祐也に、秀は普通に笑いが込み上げた。 「なんだ、それ」  と。  秀の笑顔ゲットです!とか祐也は思いながら、こうやって仲良くなってくの、楽しいなと感じていた。  秀も同じように、楽しいと感じてくれていたら良いな、と思う祐也だった。  俺、普通にこうやって笑えたんだな、と秀は考えていたが。祐也といると、今まで自分でも気付かなかった自分、という発見があると秀は思った。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!