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入学式というのは、とても退屈だ。
あくびを噛み殺しながら、榊祐也は思う。
大学生とは、不思議な時期だと思う。
高校までのような、学校の中に無理矢理詰め込まれるという感じはない。学生の自主性に任せられた、自由な学校生活ができるのだ。
自由だからと、遊びほうけたら、留年するのだけど。
開放的ではある。
が、やはり入学式は退屈である。
社会性を学ぶ為~~とかなんとか、学長とかいう人が話しをしているが、祐也はほとんど聞いていなかった。
学生が集められた場所は、広い講堂。
学席順とかは関係なくて、学部学科だけでまとめられて座っていた。
高校から同じ大学に進学した友人はいない。顔見知り程度ならいた気もするが。どうやら学部が違うらしく、姿は見ていなかった。
同じ学部学科に、祐也は知り合いが一人もいない、ということになる。
顔見知り程度の相手では、学校が同じでも話をする、一緒に遊ぶなどにはならないだろう。
友人を、早く見付けるべきだろうと思う。
でないとせっかくの大学生活が、楽しいものではなくなってしまうのではないか、とすら思った。
祐也はそっと、横に座っている生徒を見てみる。
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